「次の外来まで、目薬何本出しておきましょうか?」
この一言で、診察室の空気がふわっと止まる──
眼科外来あるあるです。
「何本いりますか?」と聞く理由
医者側としては、なんとなくではなく必要な本数をできるだけ正確に出したいと思っています。
- 少なすぎる → 次の受診前に目薬が切れて、治療が中断する
- 多すぎる → 余った目薬をダラダラ使い続けてしまう(期限切れ・開封後の劣化)
- 色々な目薬が余って、患者さん自身もどれが最新かわからなくなる
特に緑内障やドライアイなど、「毎日コツコツ」が治療の鍵になる病気では、
「いつまで使えるか」「何本出すか」は、かなり大事なポイントです。
なので医者はつい、
「今、家に何本残ってますか?」
「1本で大体どれくらい持ちますか?」
と聞きたくなるのですが──たぶん読んでいるあなたも、
「うーん…前回3本もらって…今2本くらいある…はず…?」
こんな感じで、だいたいの感覚で答えているのではないでしょうか。
患者さん側が「きっちり把握」しにくい理由
医者の感覚だと、「過不足なく、必要な分だけ本数を指定してくれる患者さん」は少数派です。
例えば、こんな状態になりがちです。
- いつ開けたボトルか覚えてない
- 両眼用か片眼用かで、減り方が違う
- 1日2回といわれているけれど、実際は抜ける日もある
- 旅行や入院など、イレギュラーな予定がある
- 別の病院・薬局からもらった分が家のどこかにある
つまり、「きっちり計算しようがない」状態に陥っていることが多いんですね。
そんな中で、「何本いりますか?」と聞かれても、
- 「じゃあ、とりあえず3本で…」
- 「多めに5本くらい出しておいてください」
と“感覚値”で返してしまうのは、ある意味当然です。
実は目薬1本って、どれくらい持つの?
ざっくりした目安ですが、
よくある5mLの点眼ボトルだと、だいたいこんなイメージです。
- 1滴 ≒ 0.05mL
- 1本 5mL ÷ 0.05mL ≒ 約100滴分
これを使い方別に考えると、
- 片眼・1日1回:1日1滴 → 約100日(3か月ちょっと)
- 片眼・1日2回:1日2滴 → 約50日(1か月半くらい)
- 両眼・1日2回:1日4滴 → 約25日(3〜4週間)
もちろん、実際には
- うまく入らなくて2滴分出てしまう
- たまに忘れる
- 涙点プラグや角膜の状態など、個人差
などがあるので**「かなり大まかな目安」**ですが、
両眼で1日2回使うと、
目薬1本 ≒ だいたい1か月弱
くらいと覚えておくのは、そこまで悪くない感覚値です。
次の外来までに必要な本数をざっくり出すコツ
診察室で固まらないために(笑)、
家でざっくり計算しておくシンプルな考え方を置いておきます。
ステップ1:自分の「1本=何週間くらい」を決める
さっきの目安を、自分用にざっくり決めます。
- 両眼・1日2回なら
→ 「1本=3〜4週間」くらいかな - 忘れがちだったり、たっぷりさしてしまうタイプなら
→ 安全に**「1本=3週間」**と見ておく、など
ここは「だいたい」でOKです。
ステップ2:次の外来まで何週間あるかを見る
例えば、
- 今日が4月1日
- 次の外来が7月1日 → 約13週間
ステップ3:
(必要な週数)÷(1本で持つ週数)=必要な本数
さっきの例で、
- 1本=3週間持つ
- 外来まで13週間ある
→ 13 ÷ 3 ≒ 4.3 → 4〜5本必要、というイメージです。
ここからさらに、
- 今、家に未開封が2本ある
- → 足りないのは残り2〜3本くらい
と逆算できます。
本数計算をアプリに丸投げするという発想
とはいえ、忙しい毎日の中で、
- 開封日を書いて
- 外来の日付を見て
- 残り本数を数えて
- 頭の中で割り算して…
を毎回やるのは、正直めんどうです。
そこで、この「次の外来まで何本いる問題」をどうにかしたくて、
眼科医として自分用&患者さん用に作っているのが、
「点眼本数管理アプリ」(iPhone向け)
です。
コンセプトはシンプルで、
- 「いつ・どの目薬を開封したか」をアプリにメモする
- 実際に何日で1本を使い切ったかを、アプリ側が学習していく
- 次の外来日を入れると、
「その日までに残り何本必要か」を自動で計算してくれる
という仕組みです。
要するに、
「1本で何日持つか」を、
患者さんの実際の使い方ベースで推定してくれる電卓
みたいなイメージです。
- 「前回○月○日に開けたボトルは、△月△日に使い切った」
- 「あなたの使い方だと、この薬はだいたい1本◯日持ちます」
- 「次の外来までは□□日あるので、残り×本あれば足りそうです」
というのを、アプリが静かに裏側でやってくれます。
この記事を読んで、
「毎回、本数を聞かれるのが地味にストレスなんだよな…」
と感じた方は、
**「本数を完璧に覚える」よりも「仕組みに任せる」**方向に
そろそろ切り替えてもいいかもしれません。
使ってみたい方はApple Storeで「点眼本数管理」で検索してみてください。
ちょっとした工夫で「本数迷子」から脱出する
アプリを使うにしても使わないにしても、
日常の中でできる工夫を少し足すだけで、だいぶラクになります。
例えば、
- ボトルに開封日を書く(油性ペンで「11/30」など)
- お薬手帳やメモアプリに「○月○日:ラタノプロスト開封」と記録
- 外来の1週間前に、残り本数と残量をざっくりチェックしておく
- 余っている目薬は「期限・開封日が不明なものは基本使わない」と決めておく
それだけでも、
「なんとなく3本くらい?」から
「2本あれば足ります、念のため3本だと安心です」
くらいにはレベルアップします。
まとめ:目薬の本数は「なんとなく」から一歩だけ前へ
- 眼科外来では、目薬の本数はほとんどの人が“感覚”で答えている
- 医者側は、本当は過不足なく、必要なだけ出したい
- 5mLボトルなら、両眼・1日2回で1本≒約1か月弱がざっくり目安
- 「今ある本数」と「自分の1本あたりの持ち」を意識すると、
本数の相談がかなりスムーズになる - 計算が面倒なら、点眼本数管理アプリのようなツールに丸投げするのも一つの手
治療をきちんと続けるためにも、
そしてムダな薬を増やさないためにも、
「なんとなく」から半歩だけ前に進んでみると、
眼科外来の“あるある悩み”が、ちょっとだけラクになります。

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