若手医師の多くは、医局人事による一年ごとないしは数年ごとの転勤を経験します。医療体制の維持や医師としての研鑽には一定の合理性がある一方、子育て中の医師と家族にとっては過重な負担です。私は実際にその歪みを肌で感じています。
一年ごとの転勤、そのたびに揺れる生活
若手医師のキャリアはローテーションに左右されます。
新しい病院、文化、当直表に慣れる前に、子どもは保育園・幼稚園を転園。生活の基盤が毎年ゆらぎ、家族全員に疲弊がたまります。
「仕方ない」で済ませるには、失うものが多すぎる――これが私の実感です。
仕組みの盲点——“働きながら子育て”の視点欠落
医局は医師偏在の是正に寄与してきました。しかし設計思想には、「家庭を持ち、子どもを育てながら働く」という前提が十分に織り込まれていません。
転勤の内示は遅く、保育園の空きは運任せ、配偶者のキャリアは後回し。これは個人の根性論ではなく、制度側の想像力不足のサインです。
中堅以上の世代の献身が今の医療を支えてきた事実は尊重します。ただ、その成功モデルを令和の標準解として若手にコピーするのは無理があります。前提が変われば、生き方も変えるべきです。
所属ではなく“実装”へ――新しい働き方を自分で立ち上げる
ここで私の選択ははっきりしています。医局に所属する道ではなく、新たな働き方を実装する道を選ぶ。
その具体が、患者の医療情報を病院から患者の手元に取り戻すアプリの開発です。医師のキャリアと家族の生活を守りながら、患者への価値提供を最大化するために、所属ではなくプロダクトで現実を動かします。
「患者の医療情報を病院から患者の手元に取り戻すようなアプリの開発」
私はこのプロダクトで、働き方そのものをプロダクト化します。どの組織に属しているかではなく、どんな価値を実装しているか、それが重要です。
私たちの“当たり前”を作り直す
従来の働き方は、私が望むライフスタイルではありません。同じ感覚を持つ医師は少なくないはずです。医療の質も家族の時間も、どちらも犠牲にしない働き方を「例外」や「配慮」ではなく、自分たちで新しい標準として設計し直す。
私は医師として、親として、そして開発者として、その“別解”づくりを続けます。
次の内示が、家族会議のため息ではなく、私たちのプロダクトロードマップを更新する合図になるように。
  
  
  
  
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